Enikki   白い手      02/03/17




白い手を見せてくださいとお願いすると、

皆さんは、餅取り粉で手にお化粧をし直して、差し出してくださった。

まるで「七匹の子ヤギ」にでてくるオオカミのように・・・

オオカミ:「白い粉をつけて・・さてとこれでよし! ・・・・ 」

子ヤギ:「ねえ、手を見せてよ」

オオカミ:「よしよし・・こうかい?」

子ヤギ:「あっ 白い手だ!お母さんだ!」







この手は、勿論オオカミの化けた手ではない。紛れもないお母さんの白い手だ! 

働き者の、明るく元気な優しいお母さんの手。

改めて手元を見てみると、みんな申し合わせたように割烹着姿だった・・・。



昔、母が着ていた、襟元にレースをあしらった白い割烹着を思い出した。

帯の上で、形よくきりりと結んだ後ろ姿、

胸元は着物の襟を見せ、それぞれお洒落なラインが襟元を粋に演出していた。



その白い割烹着姿を見ることはほとんどなくなった。今は色物や柄物が主流のようだ。




あの白は・・・ 何者をも受け入れる白だったのだろうか・・・。

割烹着は・・・・ 何者をも拒まない母の優しさだったのだろうか・・・

幼い日、割烹着にまとわりつき、時にはその胸に顔を埋めて泣いた。

女としてのやさしさ、眩しいくらの美しさで母の割烹着姿が甦ってきた。





この写真の中に、もしも私の手があったら、

きっと一目でオオカミの手とわかってしまうだろう。

なにせ、グローブのように大きな手だから・・・

いや、それよりも、

悲しいかな

私は腕カバーはしていたが、割烹着は着ていなかった・・・









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