Enikki 鬱蒼とした夏U 01/08/30 鬱蒼とした夏T はこちら |
「アラー・・・・ 豚さん?・・・」
あの鬱蒼とした夏の茂みの中にいる豚さんに、ママは話しかけたんだ。
ママは、いつもとちょっと違う様子の豚さんに
葉っぱをかき分けかき分け、のぞいて言ったんだ。
「ねー? ・・・・どうかした?・・・・」
「ねえーーー? 豚さん?」
「たいへん!! いったい どうしたって言うの!!
何があったの?
・・・・ど ど どうしましょう、交通事故?
だいじょうぶ!
怪我は? あーーお耳が・・・」
ママはもう悲しそうに叫んでいたかと思うと
そこに来たカエルさんめがけて言ったんだ
「カエルさん!
あなたが、けりでも入れたんじゃないの?」
「フクロウさん! あなたは鬱蒼とした茂みの中の守り神でしょう?
交通事故は日頃からきちんと取り締まってくれなきゃ!
いったい誰なのかしら?」
ママは、フクロウさんにもガミガミ言ったんだ。
すると豚さんは言ったよ
「ママさん、良いんですよ!
そんなにおこらないで! そんなに怒ると怖い顔になりますよ」。
「こんなことくらい全然平気ですよ!
ボクは、ここが幸せの場所だから、・・・・何があっても平気ですよ!
ボクの笑顔がなくなるまで
ボクは幸せなんですよ」。
豚さんはそういってね、傷だらけになった体を起こしてもらいながら
又、とってもいい笑顔で笑ったんだって。
結局、豚さんは何も言わなかったけど、
ママが水やりの時に水槍でも当てたのかなあ・・・
それとも
やっぱりあの後、ひっくりかえったのかなあ・・・・
あの時のボクのあの返事
「鬱蒼? うっ、そうする!」
・・・・・・・
「・・・ うっそう〜 ・・・」