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レンゲ畑にナノハナが立っていました。
レンゲが花を咲かせる頃
ナノハナはすっかり背が伸びて、どんなに遠くまでも見渡せました。
背の低い方のナノハナが言いました。
「わー 随分綺麗に咲いたものね!」
すると、横にいた背の高いナノハナが言いました。
「本当に! しかし、こう一面に咲かれると僕達はすっかり見劣りしてしまうね。」
「あらっ そんなことはないわよ。だってレンゲさんのピンクは私達の黄色を
引き立ててくれるんですもの!」
「そうかなあ・・・ やっぱり、僕達を引き立ててくれるのは緑じゃないかい?」
「緑ねぇ・・・ そうねぇ・・・・ ホラ見て! むこうの麦畑の緑! きれいだわ〜!」
来年は、あっちへ行きましょうよ!」
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「でもレンゲさんと手をつないでるよ! 僕たち入れないよ!」 「いいわねレンゲさん! 麦畑の緑のお陰であんなに綺麗だなんて・・・」 「ホラ!後ろにも・・・」 二人は後ろを振り返りました。 すると、お日様の光りを浴びて、 暖かい絨毯のように優しく光り輝いている景色が目に飛び込んできました。 「羨ましいな〜! レンゲさんと麦畑さんと・・・・ あんなにキラキラ輝いて・・・」
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すると横で聞いていた一番背の高いナノハナが、
さも分かったような口振りでこう言いました。
「なに言ってるんだい、おまえ達なんにもしらないんだな!
レンゲさんは僕たちみたいに緑がないから
麦畑さんとくっついていなきゃなんないのさ
可愛そうな奴さ!」
「そうだったの・・・・ あんなに幸せそうなのに・・・・・・・ 」
二人は口を揃えて言いました。
明くる日のことです。
汗が出るほど暑かったこの日も
ナノハナは、何処に種を飛ばそうかと一生懸命背伸びをしていました。
それで、とても疲れてしまいました。
風が吹く度に体は斜めに倒れかかり・・・・
小さくなった花は、それでも未だ頑張って背伸びをして・・・・
とうとう我慢できずに下を向いたその時です。
アーッ!
足元を見ると、レンゲは沢山の緑の中にいました。
「綺麗だー!」 「 ・・・なんて綺麗なんでしょう!」 「なんて事だー!」
三人は思わず叫びました。
「レンゲさんはそのままでも一人一人・・・・・ なんて可愛いんでしょう・・・」
「本当に・・・ なんて可愛いいんだろう・・・・・」
「なんだか私・・・・ 恥ずかしいわ!」
「いやいや・・・・ 全く・・・・ 」
三人は顔を見合わせて言いました。
それからと言うもの
三人は
ゆらゆらと
細く伸びた体を風にまかせ
何とも幸せそうに 揺れていました。
おしまい
このお話は、この日撮った写真を眺めているうちについつい?出来たお話です。 |