君に捧げる Enikki  20年目の6月  01/06/24



先日のことだ。

物持ちの良い私も、とうとう粗大ゴミに出す決心をした。
もうとっくにあの世で仏さんになっている筈だったのだが・・・
諦めきれなかった。

粗大ゴミに行く物にはそれなりの歴史がある訳で
愛着のあるもので有ったり、嫌われ者であったりもするが
私が決心をしたのは
愛着と歴史と初々しさと思い出とそんなこんなが
一杯つまった代物だ。

何処にでもある、いや今となっては時代遅れの
骨董価値も有りそうな代物だ。


私はおまえを裸で自転車のサイド籠に放り込んで縛り付け、
なんとも乱暴な扱いをした事が今となっては
懐かしさと共にほろ苦さの残る思い出となってしまった。

体重8s  身長771o

最後の身支度を終え玄関に立てかけた姿は悲しいかな堂々としていた。

学校や仕事でしばらく家を開けていた次男が、それを見つけて
随分懐かしそうにしている。


そして一言何気なく
写真は撮っておかないのかとたしなめられた。



名前 カシオトーン CT-405
768種類の伴奏パターンが自由に作れる。
20音色、12リズム、トランスポーズ機能もついた本格派。
とある。
そのころのパンフレットから見ると丁度中の上レベルである。
しかし、今は1トーンのみの機能となった。






私が自分史を書くならその中心に居座るのは
どんぐり劇場というただ者ではない存在だろう。

全く何も分からず始めた人形劇を
気の合う仲間と、楽しく20数年此処までやってこれたのも
素人の私達が音楽をたしなむ事が出来たのも
人形劇に夢と楽しさと、ひろがりと創作意欲を掻き立ててくれたのも

最初におまえがいてくれたから出来た事。

おまえのお陰様はそれほど目立たなかったけれど
5才の次男の心をとらえて一緒に育ってきたんだ。
今更のように大きくなった次男とおまえの歴史を並べてみる。



初めて出会った日の事を私はなぜか鮮明に覚えているよ。
楽器など出来ない私がこれなら何とか人形劇で使えると
ワクワクして主人にねだった、7万9000円
子供達も目を輝かせていた。
主人が快く賛成してくれて私はどれ程嬉しかったか・・・


それから20年
何しろおまえは20才

長いようで短い一生だったかもしれない。
その役目を終えることは、不本意かも知れない。

しかし、もう立派に私達を育ててくれたよ。

有り難う。

苦労をかけたね。

病んだ体に鞭打つのはよそう。

その姿をさらすのはよそう。

想い出は心の中だけにしまって

潔くお別れだ



今日

別れのセレモニーとしての

この日記を最後に・・・・









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